Cemvitaとリオグランデ・ド・スル州の提携と施設建設
米国の微生物による有価物変換プラットフォーム技術を持つCemvitaは、ブラジルのリオグランデ・ド・スル州への投資を誘致するInvest RSとの契約を締結し、同州においてFermOil™生産施設を建設する計画を正式決定したと発表した。同施設ではバイオディーゼルの副産物である粗グリセロールを原料として持続可能航空燃料(SAF)の原料を生産するほか、再生農業を支援するバイオ肥料FermNPK™も製造する予定である。署名式には州政府関係者およびCemvita経営陣が出席し、同州を循環型バイオエコノミーにおける世界的拠点とする意向が明確に示された。
規制面での追い風
2024年にブラジルで制定された「未来の燃料」法は、バイオディーゼルの混合比率拡大および持続可能な航空燃料(SAF)の導入を義務化し、持続可能な燃料への移行を促進するものである。世界第二位のバイオディーゼル生産国であるブラジルでは、副産物の有効活用や持続可能なバイオディーゼル産業への転換が重視されており、Cemvitaの技術は土地や淡水資源への負担を最小化しつつ高付加価値グリーンケミカルを生産可能とし、持続可能な原料への需要増大に応えると同時に、循環型経済の成長を推進する基盤を提供する。またこのタイミングでのCemvitaのブラジル進出は、ブラジルで開催されるCOP30への期待感と合致するものであり、国際社会にブラジルのバイオエコノミーの先進的な取り組みをアピールする目的もあると同社は述べる。
世界初の技術的意義と展望
この施設は、Cemvitaのバイオ変換技術を工業規模で活用する世界初のプラントであり、低炭素社会への移行を象徴する技術的飛躍である。CemvitaのCEOは、同州が提供するインフラ・規制環境・原料の整備が自社のビジョンと完全に一致していると述べ、官民パートナーシップによる低炭素推進への期待を表明した。本プロジェクトはリオグランデ・ド・スル州をバイオエコノミーにおける世界的イノベーション拠点へと押し上げ、航空・農業・エネルギー分野に直接的なインパクトを与えることが期待される。